寒波が襲ってきた日はこれに限る
こんにちは、坂口友英です。
どうも地球温暖化とは地球全体が暖かい日になるというわけではないらしい。
先日は沖縄でも雪が降っただのロシアでは大寒波の中徒歩で帰宅した若者が亡くなっただのと、結局冬は寒いのかよとツッコミを入れたくなる。
そんな日は温もりを求めるのが人間というものだが、歳をとると色々肥えるというか、若い頃なら安くてもインスタントでも問題なかったのに、今はそんなものでは調子が悪くなる始末だ。まるで久しぶりに運動したら筋肉痛になるかのように。
結局手間とお金をかけるわけだが、何しろ諸々が肥えていれば目も肥えているわけで「とてもお買得」だの「安い値段の割には」では買う気にもなれない。
車で行ってもいいが、こちらが北国育ちで仮に吹雪やブラックアイスバーンに慣れていても、慣れないドライバーがこちらに突っ込んでくるリスクを考えて渋々電車で移動する。
電車にも「男性専用車両」を作ってもらいたいくらいだ。
こう寒いとみんなが着膨れていて、触れたくなくても袖や裾が当たるのは避けられない。
とても触れる気にもなれない婦女子から「痴漢!」などと叫ばれようものならと冷や汗が止まらない。
これだけでも十分変人だ。婦女子よ、ここに寒いのに汗をかく変人がいるぞ、避けるが良い、車両を変えるが良い。
無事に電車を降り、目的の場所へ。高級ですけど何か?と言いたげな佇まいの建物に、庶民よりお目が高いのよと言いたげな客層、いらっしゃいませと笑顔で迎えつつも「庶民以外は」と枕詞が付きそうな口ぶりの店員たちを横目に、目的の場所へ向かう。
ここはいわば「高級会員制クラブ」だ。どんな嬢でも豪華だけど落ち着いた内装と最低限の照明なかにうやうやしく鎮座させれば、提示された価格を湯水の如く差し出すのがステイタスなのだ。
「花束」に必要な花卉を揃え、また汗をかきながら電車で帰る。
早速「花束」を作る。大本命に捧げる大切な花束である。丁寧に解れないように束ねる。手作りだからいい。
気持ちを込めれば込めるだけ伝わるのがいい。丁寧に揃え、順番通りにした。
あとはこの「花束」をうやうやしく捧げれば良い。
そう、前日から仕込んだコンソメスープの中にジャガイモ玉ねぎ人参、そしてとっておきのソーセージだ。さすがはボク!お目が高いぞボク!このぷりぷりで芳醇な香りのソーセージに芸術的価値な切れ込みを入れていると、まるでソーセージが涙を流して喜んでいるかのようだ。
そんなソーセージのためにボクはこの「花束」を捧げるのだ。
そうだブーケガルニだ!さあボクのこの想いを受け止めておくれ。
鍋に全ての材料を入れて、はらはらと舞う雪を眺めて完成を待とう。