徒然なるままに坂口友英|元イタリアンシェフの挑戦!

坂口友英の毎日の挑戦!と意気込んでおりましたが、ゆるーりとした生活を思うままに書き綴ります。元シェフらしく、毎日の料理や食事などが多いです。

黄金の都、平泉にて。ぼくの葛藤と秋の景色。

こんばんは、坂口友英です。

 

つい先日、東北新幹線に乗りぼくは岩手県の一ノ関という駅で降りた。

そこから更に電車を乗り換えてしばらく。

ついたのは平泉町

そこでぼくのお目当は中尊寺だ。世界遺産に登録されたのは何年前だったか。一度来て見たいと思っていた。

中尊寺まではバスで移動するつもりだった。
しかしバス停でバスの時刻表を見て飛び上がってしまった。驚くほど本数がない。
美味しいご飯のお店でもあればそこで時間を潰そうかと思ったが、ぼくはタクシーで向かうことにした。
ここまでがかなりの長旅だったせいか、お店に入ってしまえば満足して帰ってしまいたくなるかもしれない。
せっかく時間を作って東北まで来たのだし、先に観光名所を楽しむことを選んだ。
中尊寺というのは山の中にあるお寺らしい。
本殿に向かいながら長い長い坂道を一歩ずつ進んで行く。これがかなり険しい。

靴に結びつける滑り止めが貸し出されるほどだ。
でもぼくはなぜか強がってしまった。滑り止めが入っているカゴを横目に、いつものスニーカーで坂を登り始めた。
坂は大変だったが景色は素晴らしかった。
紅葉だ。赤い葉が360度の景色を彩っている。
いいな、とぽつりと呟いた。
すると強い風が吹いた。この町ではすでに冬が目の前まで来ているんだなあ。
坂の途中で弁慶堂というものに出会った。
弁慶、という文字を見てここが源義経ゆかりの地であることを思い出した。
そうだ、歴史の教科書のヒーロー。勉強したのは小学校だったか中学校だったか、懐かしいな。

そのまま登り進めて本殿の手前、売店がある。
お守りがたくさん並ぶ中でぼくの目に止まったのは、甘酒。
甘酒、確かにもう冬の空気だ。この気温の中、甘酒を体に注ぎ込めばどれほど幸せだろう…
とそこで、ぼくは先ほどの決意を思い出す。
先にお参りをするべきだな、うん。
この楽しみは帰りにここを下るまで取っておこう。

ぼくはそのまま本殿に向かった。
時期が時期だからか観光客はあまり多くない。寧ろ、ぼく以外は地元の人かもしれない。

そんな彼らに習いながら、お参りの前に炭で線香に火をつけ、煙を浴びる。

この煙たさ、キッチンで知っているな、と思って苦笑した。神様、ごめんなさい。
お参りも済ませてぼくはもう少し先に進んだ。
本殿はここだが金色堂はもっと奥らしい。
しばらく進んでようやく金色堂にたどり着いた。(何度も甘酒に惹かれたのは内緒だ。)

ぼくが金色堂に入った時は誰もいなかった。実際に金色堂の目の前に立つ。

その荘厳さといったら、言葉にできないほどのものだった。かの奥州藤原氏達がここに眠っている

…歴史というものはすごいと改めて感じた。そしてぼくは今、この黄金の建物が見える景色を独り占めしている。

何と贅沢なことだろう。だけど、それを1人で見ることに少し寂しさもあった。

誰かと分かち合いたい素晴らしさだったのだ。

 

こんなにセンチメンタルになってしまうのは秋のせいか。
金色堂を出てぼくは気付いてしまった。
この中にレストランがあるらしい。レストランか、料亭か。
かつての職業病なのか、やっぱりそういうところは気になってしまう。

特に地方のものっていうのはその地域の個性が出るし。
目的を果たしたぼくは、念願の食にありつくことにしたのだった。